ふるさとの民話– category –
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第十三話 妙剱の三つの石
千野に「妙剱」というところあり、 「妙剱」の前の道のそばに、三つの石が置いてあります。この石には、不思議なお話があります。 ある夜、旅の坊さんが、「妙剱」の前の道を通った。火が燃えているので、近寄ってみると、鬼たちが、大きな釜を焚きながら... -
第十二話 じよんこの夢
昔、若林に、権右衝門という百姓が住んでいた。 代々、肝煎(きもいり)役をつとめ、家は大へん栄えていた。また、その屋敷の中には、大きな「よのめの木」が、屋數を見下ろすようにはえていた その木の上から、時々、天拘の鳴らす太鼓の音が、遠くまで聞... -
第十一話 石垣から出た仏様
昔、飯川に金剛五ヶ寺があって、栄えていていました。現在の天池浩さんの宅の付近に、その一つの万福寺がありました。万福寺の跡には、昔の盛時を思わせるような大杉が、そびえていました。 大正のはじめ、万福寺跡に徳田織物エ揚を建てることになり、 大... -
第十話 松根油取りの話
戦時中の話てす。当時の役場か区長さんにいわれて、山へ松の根を掘りに行ったことが、三回ほどあります。 各班ごとに、今日は一班、一週間後には二班といったように、計画をてて、どの班ももれなく、松の根を掘りに行きました。 朝早くから、荷車を引いて... -
第九話 八田の蛇池
八田の村は、今よりもずっと奧へ入った山の中にあったそうです。八田川の川上に、小さな池があります。昔、大蛇が、その池に住んでいたので、村人たちは、時々、池の側で雨乞い(あまごい)をしました。 それで、この池を「雨乞い沢」と呼んでいました。昔、... -
第八話 念仏川のカワウソ
話は、明治三十年頃のことです。その頃、「念仏川」に、カワウソがよくいたそうです。若宮の宮司が、川田の秋祭りに行きました。 出祭りも無事にすんで、宮司は、当番宿で大へんごちそうになりました。その上、おざしなどのごちそうを、たくさん風呂敷に包... -
第七話 江曽の嫁殺し田
江曽にたいへんひどい姑(しゅうとめ)がいた。毎日、嫁をいびり通していた。嫁には、いつも、とてもできないほど、た<さんの仕事をさせながら、食べ物も十分に食べさせなかった。また、嫁の里帰りを、 一日も許さなかった。 泣きながらそれに耐え、「い... -
第六話 カワウソにだまされた話
私が、父の生存中に聞いた話です。ある時、 父は、干野の畑さんへ祭りの招待を受け、大へんごちそうになり、お酒もだいぶ入っていたようです。 泊まっていくようにすすめられたが、父は、 それを押し切って帰ることになったそうです。 その時、手みやげに... -
第五話 妙靱神社の話
一、亀に乗ってきた神様 千野町の妙翗白石神社が、合祀されるずっと音の話です。妙靱神社の神様は、亀に乗っておいでになったといいます。その時乗ってきだ亀を放養した池を、「亀田」といい、今も神社の後ろに残されています。 私らが子どもの頃、丘陵に... -
第四話 皇子とホトトギス
昔「いわつきわけの命」という哑(おし)の皇子がおられた。皇子の父てある天皇は、ある夜、 夢の中で、「石動山の天平寺にお詣りすれば、皇子の哂が治るてあろう。」というお告げを聞かれた。 そこで、天皇の命により、皇子は、勅使として、 天平寺へお詣り...