第三十六話 戻橋(もどり橋)

千野町から流れ出て、徳田と矢田郷の境を流れ、国道一五九号線を横切る、小さな川がある。

この小川にかけられた一つの橋を、「戻橋(もどり橋)」と呼んでいる。

上杉謙信が、 城山の畠山氏を攻めた時、城山の城は、城塞堅固で、上杉謙信は、容易に、攻め落とすことができなかった。

何か方法がないか考えた末、 城山の水源を絶って、戦わずして降伏させようとしました。

ところが、数日を経た後になっても、いっこうに、城山では、水が切れた様子がなく、城山には、 白水が滝のごとく流れていた。 「これでは、いつまでたっても、だめだ。」「一度、越後に帰ろう。」と、軍を、この橋までかえし、ふと、城山を見上げました。 「殿、城の様子が変です。」「何事だ。」と城の方を振り返ると、今まで、白水が流れていると思っていたところに、無数烏が飛び集まり、散る様子が見えました。

「そうか、水が流れていると思ったのは、米だったのか。」そうだったのです。

畠山氏が、苦肉の策として、白米を滝のごとく流し、敵を欺いていたのです。

上杉謙信は、再び、この地(橋)から、軍を引き返し、畠山氏を滅ぼしたといわれます。

その後、この橋を「戻橋」と、呼ぶようになったといいます。まだ、 謙信が、城山を攻めきれず、軍を、この橋まで、いったん戻したため、「戻橋」という説もあります。 

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