第六十二話 白馬の四ヶ村祭

四ヶ村祭は、春は四月二日、秋は九月八日に行われる辻祭りでした。四ヶ村とは、下町、飯川町、白馬町、若林町を指し、氏子が四ヶ村が持っている神輿を担いで村々を回りました。神主さんが村の辻でゴザを引いて祝詞のりとを上げるところへ、お酒やお米、花など御神ごしん供料くりょうを持って行っていました。 ある年、白馬の「堂の前」で祝詞を上げているとき、にわかに雷鳴が鳴り響き、雷雨となりました。坂井さんの家は座敷も広いし、式台もあるということから、神輿、神主、氏子総代、氏子などが雨宿りをさせてもらって、事なきを得ました。こうして雨風をしのぐことができたことから、神主の野村さんからは、「坂井さんの家で白馬の辻祭りをしてもらえないか」と、いうことになったそうです。 次の年から、白馬の四ヶ村祭は、辻でするのではなく、坂井家の式台の前の六畳の間まで執り行われることとなりました。 そんな四ヶ村の祭りは、だんだん廃れていきましたが、若宮で毎年順に持ち回りでする盆踊りだけは、四町に徳田町を加えて続いてきました。しかし、盆踊りの参加者も減り、当番町の人しか集まらないということで、令和元年度から盆踊りも無くなってしまいました。昔のことを知っている者にとっては、寂しい限りです。

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