
白馬町地内の旧道と前川から西側に向かう狭い道が交差する四つ辻は、裏山に神仏一体のお堂が建っていたことから、昔から「堂の前」と言われていました。 お堂が建っていた所は、地面は平らで、少し段になっており、昔は湧き水が流れ、池もありました。最後は、尼さんが住む尼寺になったと聞いていますが、今は竹が生えています。 お堂の大きな樫の木の根元の石仏と、その下にも少し大きな石仏があって、この二つの石仏は、「触ってはいけない。」と古老から厳しく言われていましたので、今でも苔むしたままあると思います。「堂の前」は、村の江掘えほりや草刈りなどの作業などの集合場所になっていて、「堂の前に集まって下さい。」といって案内していたそうです。また、ここは、男の人、青年団の相談の場や憩の場で、夕方になると野良仕事帰りに寄ってきて、農作業などの情報交換をする地域の中心的な所でした。 また、「堂の前」には、大きさの違う五つの盤持ばんもち石いしがあり、以前は白馬の白山神社の境内にありましたが、神社は寄付された灯籠などが増え、置く場所が無くなったことから、「堂の前」に移されたものだと聞いています。「堂の前」に集まった若者が、この万持ち石を肩に担いで前川まで運んで、その石の重さや速さを競い合い、力自慢をしていました。