
山芋によく似た「ところ」というものがある。山芋と違い、山のどこにでもあり、また、掘りやすい。
飯川に、「ごんざんさ」という男がいた。足まめに、山へ通い、山芋を掘ってきていた。
「おやっさん、今も、でかいこそ、掘ってきたね。」「いやいや、たくさんあってね。」毎日毎日、あまりにたくさん掘ってくるので、村のものたちも不思議に思った。
そこで、ほめ方々、掘ってきたものをよく見ると、山芋でなく、「ところ」であった。
この話が広まると、違っているのに、本気でやることを、「『ところ』のごんざんさ」みたいなことをやるな」というようになった。