
昔、同ヶ谷内の丘に、薬師堂があった。(現今、その跡に礎石や石碑がある。)そのそばに、細々した湯が湧いていた。
八田の村人たちは、いつも、その温かい泉を大切にしていた。
村人たちは、その湯につかり、春や夏には、農作業の疲れをいやしました。
冬には、あかぎれやしもやけの治療をしていた。
ある寒い日、 他所の女房共が寄ってきて、 その泉で汚れ物を洗って帰った。
ところが、その日から、泉の湯は一滴も出なくなり、端村の和倉に湯が湧き出した。
八田の村人たちは、湯が出な<なったけれど、 その後、あかぎれやしもやけにかかるものもなく、健康で美人ばかりいる村となつた。