第五十二話 絹布に包まれた落とし子

若林は、一説に、この土地一帯が、繁茂した林であり、観音森と火の宮森と呼ばれていました。
畠山氏が、城を築いた時、この一帯から、用材を切り出したと伝わっています。

その昔、用材を切り出した観音森の近くに、納屋がありました。ある日、その納屋から子の泣き声がするので、持ち家の人がびっくりして、納屋へ入ってみました。

すると、そこには、「丸に二の字」の紋がついている絹布に包まれた、丸々太った男の子がいるではありませんか。

びっくりして、近々の人たちに知らせると、「さきほど、小さな小包を持った城の木樵が、置いていったのではなかろうか。」「どうすることも、でさないだろう。」と話し合って、その赤子を大切に育てました。

その子は、「畠山氏の落とし子」ではないだろうか、と言い伝えられています。

その後、その子は、この家の娘さんと夫婦になって、末永く幸福に暮らしたそうです。

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