第二十二話 にげだした神様

むかし、細口村のお宮が、「若宮」というところにあった時の話です。

その宮の下に、小さな池があったそうです。今は、土地改良事業で、その名残りもありません。

四季を通じて、その池へ、小さな流れがありました。その小さな池に、心ない人が、汚いよごれ物を洗ってしまいました。

お怒りになつた神様が、白い馬に姿を変えられ、お宮から抜け出されました。

今も、地名がありますが、白い馬は、「馬馳」から巡り隣衬の「白馬」に出られました。

「白馬」の地名が、それと関係があるのか、ないのか、定かではありません。

驚いた村人たちが、その白い馬に追いつき、一生懸命に謝りました。

それから、清らかな水が、湧きだしているそうです。
また、 村中が、お宮さんを見渡せる「獅子が鼻」に、新しいお堂を建てて、そこへ遷座してもらいました。

時を経て、見下ろす高台に移ったが、昭和五十一年の災害により、危険な状態になり、元の「獅子が鼻」へ、再び遷座され、現在にいたっております。

  • URLをコピーしました!